十ニ月の日記/メモ

 
2018.12.18(火) 18:18:00 スプリットスペースバーが最高だと言う事
この記事は 「自作キーボード Advent Calendar 2018」その1(3まであるよ!)の18日目の記事です。
Surface Engonomic Keyboard 英語配列
上の写真のキーボードはスペースバーが二つに割れています。一見素晴らしい作りのキーボードに見えるのですが、残念ながら二つのスペースバーのどちらも只スペースを入力するキーとしてしか機能しません。この二つのスペースバーにそれぞれ別の機能を割り振れたらどんなに良いか。スペースバーが二つあって左右の親指をそれぞれ活用できるキーボードが標準として普及していていたらどんなに良いか。そういうキーボードが一般に入手可能であったらどんなに良いか。と、ずっと思ってきたのですが、去年あたりから状況が変わってきていました。

Z70 (MDAプロファイルのキーキャップ装備)
世間(一部)では Ergodox に代表されるキーボード本体が左右二つに分離されているいわゆるスプリットキーボードというものが人気を博していたようですが、Ergodox は無駄に大きいため敬遠していて私が目をとめたのはこの Z70 というキーボードでした。写真のものは去年末に注文し今年3月に使い始めました。冒頭の Surface のキーボードと同様スペースバーが二つに分かれているスプリットスペースバーのキーボードです。Z70 は、専用のカスタマイズツールを使ってすべてのキーのキーコード割り当てを変更できるようになっており、左右のスペースバーのうち片方をスペースとして使いもう一方を他の機能に割り振る事が出来ます。カスタマイズツールはUSB規格の HID Usage Table に定義されたキーコードを網羅しているので日本語のキーボード(JIS配列のキーボード)用のキーコードもちゃんと選択することが出来ます。
日本人なのでパソコンで日本語を入力することは多い訳ですが、キーボードには日本語変換のためキーとしてたった一つ「変換キー」だけあれば良く、「半角/全角」「無変換」や「カタカナ/ひらがな」などのキーは必要としていない、というよりむしろ残りの部分は普通の英語配列であってくれた方が嬉しいという所で、Z70 のこのキー配列は完璧だと思いました。

親指シフト配列 (NICOLA配列) キーマップ
Z70 は、自作キーボードではない訳ですがこれを入手した時点ではこれが最も使いたいと思っていた配列なので一旦 Z70 を例にどういう使い方をするのかを説明します。上に示したので親指シフトで日本語を入力する時のキーマップです。親指シフトの機能はキーボード単体で実現しているのではなく Windows 上で AutoHotKey (github) というツールをインストールした上で DvorakJ というスクリプトを改造したものを使って実現しています。
さて、ここが本編というかハイライトなのですが、IMEの設定も駆使して左右の親指キーには以下の様に機能を多重に割り当てています。
左親指
  • 単独打鍵でスペースを入力
  • 日本語IMEオン、同時打鍵で親指シフト
  • 日本語IMEオン、入力文字列なし、単独打鍵で全角スペースを入力
  • 日本語IMEオン、入力文字列あり、単独打鍵で漢字変換
  • 日本語IMEオン、漢字変換中、単独打鍵で次候補
右親指
  • 単独打鍵でIMEオン/オフ
  • 日本語IMEオフ時、シフトとして作用 (アルファベット大文字入力, 数字列を記号に)
  • 日本語IMEオン、同時打鍵で親指シフト
  • 日本語IMEオン、入力文字列あり、単独打鍵で確定
  • 日本語IMEオン、漢字変換中、単独打鍵で一文節確定
親指キーの機能割り当て表
キー数の少ない自作キーボードでは、親指シフトのことを除けば、似たような感じで日本語入力に関わるキー数を最小限にしている方も多いと思うのですが、親指のキーがシフトとしても親指シフトとしても問題なく使えたうえでこれだけの機能を盛り込めるかどうかといかのは、なかなか難しいかも知れないと考えていたので達成できてかなり満足しました。IMEの操作で確定がEnterキーに割り当てられているのはワープロの時代には問題が無かったのでしょうが、昨今だとうっかり誤送信が起こり原因になっているので、Enterでないキーで確定とする方式が普及すればいいのになと思っています。(難しい)
※実際には能動的に確定しないような方式がお仕着せで浸透していくのかも知れません。
上記がスプリットスペースバー = 左右二つに分かれたスペースバーが最高だよという話で言いたかった事でした。つまりは、長いスペースバーさえ二つに分かれていて、それぞれ違うキーとして扱えるようにしてくれてあれば、英語配列のキーボードで親指シフトを使った日本語入力が快適に使えるのだ、という主張です。
さてようやく自作キーボードが登場します。自分がしたいカスタマイズが満足できる形で実現できると分かったので、今年マニアの間で目覚ましく花開いた自作キーボードのマーケットから面白そうなものを選んで親指シフトをやってみたくなったのです。どれを見ても個性がありそれぞれに独特なキーボードであふれています。それに加え左右が分離しているキーボードが多いので必然的に親指のキーも左右それぞれに存在しているので好都合です。どうしても英語配列よりのキーボードが多いのですが今やそれも問題ではなくなりました。(これは人間が英語配列使いとして完全に矯正されたため。)

HelixPico by 遊舎工房(ないん@pluis9)

Corne Cherry by コルネはパン@foostan

Lily58 by ゆーち@F_YUUCHI
今ではこれらのお気に入りのキーボードで親指シフトを楽しんでいます。以下に示すキーマップの通り Lily58 などは思いのほか親指シフトに適しています。

Lily58用 改変親指シフト配列 キーマップ
という訳で今年になって初めてハードウェア・ソフトウェアともに満足いく形で使える親指シフト環境が手元に出来上がったのですが、実の所、親指シフトは日本語入力用のキーボード配列として最適解かというとそうではないという感覚ももっているので、今後は親指シフトキー4つを駆使するような新方式も探求してゆけたらよいなと思っています。
この記事は、Lily58 で書きました。ちなみに英字の入力の時の配列は、今年から Dvorak を本格的に使い始めてすっかりマスターしました。
⋯ ShiroMicro について言及する余裕がなかった ⋯
明日はゆかりさんの記事「今年もゆるふわしたこと書きたい」です!
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